Greeting representatives
2014年9月6日開催の第4回近赤外線研究会でご報告申し上げましたとおり、同日の理事会において理事長が交代し、名誉理事長が就任しました。
研究会発足時から理事長として近赤外線研究会の発展に尽くした池川 信夫が退任し、新理事長に川島 眞が就任しました。
池川は今後名誉理事長として研究会の運営に携わります。
名誉理事長、新理事長のもと、研究会一同更なる充実を目指してまいります。引き続きご支援をよろしくお願いいたします。
近赤外線研究会は2010年に東京工業大学名誉教授 池川信夫先生を初代理事長として発足しました。
当時、近赤外線は分子の化学構造の解明や種々の測定、通信に利用されてきましたが、生体への作用については、十分な研究がされてこなかった分野でした。
一方で太陽光に近い波長のNIRを皮膚表面を冷却しながら照射することにより、生体の深層までNIRが到達すること、その生理作用は生体に対する有益なものから有害なものまで存在しうることが分かってきた時でもありました。
その様な背景のもと、近赤外線研究の推進は生命科学の発展に貢献し、様々な分野で活用され画期的な技術革新を起こすことが期待できると確信した池川初代理事長とともに発起人として、医学、薬学、理学、工学など異分野の専門家が集う場として、また社会に対してのNIRの功罪を正しく啓発していく組織として本研究会の発足に至ったのが経緯です。
これまで4回の研究会を開催し、近赤外線の基礎の理解、身体計測を含めた産業界での応用、医療、特に癌治療への応用の可能性、抗老化治療での作用機序などについて、主として基礎研究の観点からの検討を行ってきました。
第4回研究会においては、新規に開発された近赤外線照射装置を用いた皮膚の表皮細胞および線維芽細胞からの種々のサイトカインの産生促進あるいは抑制についての報告があり、それを基盤に化粧品に近赤外線への適切な対応を工夫した製品についての報告、さらには皮膚と同様に近赤外線の影響を強く受ける眼に対する作用についての研究も報告され、近赤外線の人体への影響が強く注目されてきました。また、化粧品や眼鏡での近赤外線遮断効果の基準についても発表があり、急速に基礎から臨床に研究会の議論の中心が移ってきました。
このような研究会の流れを背景に、今回 私が本研究会の2代目の理事長に就任致しました。
今後とも 近赤外線に関する基礎データの蓄積に努めるとともに、功罪両面を有する近赤外線を人体に適切に作用させるために、医学(皮膚科、眼科、癌治療など)、化粧品、眼鏡、居住空間、家電など 様々な領域に視点を広げて研究したいと考えております。
皆様のご参加を歓迎いたします。
近赤外線研究会 理事長
東京女子医科大学 皮膚科 教授
川島 眞
© 2014 Society for Near-infrared rays Research